「今の彼じゃないのかなあ」本音で語る恋愛マガジン

【小説】vol1 男とは「甘え上手な女にとにかく弱い」生き物である<前編>

男心を知らずして、男とうまくいこうだなんてちゃんちゃらおかしい。

ここでは、男心を知らないばっかりに失敗した女子達が、男心を学んでいく姿を描いていきます。
失敗は成功の元。さあ、いっしょに男ってヤツを学んで、恋愛偏差値をあげていきましょう。

 

  • <今週の男心を知った女子>
  • 大学在学中、読モで出入りしてたファッション雑誌で声をかけられ、
    そのまま神保町にある出版社でファッション雑誌のフリーランスのエディターとして頑張っている恵理子・32歳。
    大学時代は読モやってたくらいなので、男ウケする女子を理解してたはずだが、
    すっかり、“ザ・女社会”の女性誌業界に毒され、男心にとんと無頓着なまま今に至る。
    彼氏いない歴4年。32の誕生日に「丸高押されるまでに第一子を産む。
    そのためには今年中に結婚相手をつかまえる」と鼻息を荒くしている今日この頃。

大好きなファッションに携わっていられること、有名モデルやカメラマンと仕事したり、レセプションパーティに行くのが日常の華やかな毎日、女子だからって差別されることなくバリバリ働けること。
ファッション雑誌の編集と言う仕事が、恵理子はとても気に入っている。
しかし、世の中の人はわかっていないけど、「00編集部ライター」という名刺を持っていても、その雑誌と契約している人はほとんどいなく、フリーランスというのがこの業界の常識だ。
完全実力社会なので、売れてる人はいくつもオファーがあるけど、売れてない人はある日突然廃業なんてザラ。日々綱渡りの厳しい世界だ。昔は、普通で60、売れっ子は月2〜300稼いだなんて話を先輩から聞くけど、雑誌が廃刊続きの今、そんなのは夢のまた夢で、今は、わずかな席を取り合う壮絶な椅子取りゲームとなっているのが現状だ。
やり手の子は、ライター稼業でつけた人脈でブランドのカタログ制作やコンサルなど仕事の幅をぐいぐいと広げているが、営業なんてやったことないし、そもそも恥ずかしくてそんなこと到底できる気がしない。

そんな話を、青学の同級生で今は大手広告代理店で営業をやってる親友のケンタと「琉球TAMA」で飲みながらしていた。

 

「男心がわかってないから仕事でもくすぶってる」って、何それ!

vol1 男とは「甘え上手な女にとにかく弱い」生き物である<前編>

「恵理子さ、欲はあるくせに、頑張れないとか言いきっちゃう。ったく図々しいっていうか、甘いっていうか。とにかく、32にもなって世の中なめすぎだから。
まあ、今の仕事頑張ってんのはわかんだけど、そんなの当たり前じゃん。今を変えたいなら努力しろよ。女性誌は女社会だから、そこで頑張る分には今のままでもいいのかもしんないけど、もっと幅広く企業から仕事とろうと思ったら、もうちょっと男心ってもんを理解したほうがいいと思うぜ」

「ちょっ、そんな言い方しなくてもよくない? ケンタがいう通り、男心はわかってない自覚はあるよお。彼氏4年もいないし。でもさ、それが仕事でパッとしない原因というのは腑に落ちないなあ」

「わかってねえなあ。だってさあ、女性活躍とかいったって、所詮日本のビジネス社会はまだまだ男社会で、お前がファッション雑誌以外の仕事もとっていこう、って思ったら、もう少し男心をわかってた方がいいんだって」。

確かに。。。ケンタが言ってることもわかんなくない。

前だったらスルーしてた男友達の言葉も人生迷子の今は、、、

「昔の同期で、うちにいるときNO1営業ウーマンだった子がさ、1年前独立して、PR会社立ち上げたんだ。最初は一人でやってたんだけど、1年で社員5人くらい抱えるくらいの急成長ぶりでさー。彼女とか、まあもちろん仕事は普通にできるけど、、どっちかっていうと、男心めっちゃわかってるから、あそこまでいったとこあるもんなあ。ああいう女子から恵理子も学んだ方がいいぜ」。

前だったら、イラっとして「大きなお世話だしっ」と流すところを、32歳の誕生日のとき「仕事もバリッとやって、35までに結婚して子供を産むぞー!」と決めた今は、ここで流しちゃいけないと思い

「じゃあ、会わせてよ、その子に」と前のめってみた。

「いいよ。3人で会っても彼女のすごさがわかりにくいだろうし、ほら、お前男作りたいんだろ? だったら、一石二鳥で飲み会やってやるよ。そこで、彼女のすごさを学べよ。2、2じゃ俺面白くもなんともねえから、お前もう一人誰か可愛い子連れてこいよ。こっちも俺含めいい男あと二人揃えるからさ」。

「ケンタがいい男かどうかはおいといて、同い年でそんなに成功している女子、会ってみたいし、とびきりの美人、連れて行くよ」と返事をした。

「とびきりの美人」は、スタイリストのカナオにした。彼女は、誌面でも度々特集が組まれるほどの美貌とセンスの持ち主で、自慢の友人。本名はカナなのだけど、顔もスタイルも菜々緒に似ているところから、業界では「カナオ」と呼ばれている。なぜか、彼女も5年以上彼氏がいないけど。

 

男心をわかっているから仕事で成功している32歳女社長の正体は?

合コン当日、何を着ていくか迷った。女性誌を作ってる立場としては「男の子はこんなファッションが好き」特集も何度もやってきたので、知っちゃあいるけれど、32にもなって、フィット&フレアのワンピを着るのは痛すぎる。こんなことなら、前回のFLAYIDの展示会で男ウケしそうなワンピ、つけときゃよかった、と、後悔しながら「困ったときの黒ワンピ」で、ENFOLDのボックスワンピにPELLICOのブーティーにデビットソンのシルバーのカーニバルを合わせることにした。カナオと編集部からタクってケンタが予約してくれた「CICADA」へ向かった。

カナオは、イザベルマランのアシメワンピにマノロのヒール。さすが、稼いでいる女は違う。

Mayumi Osawaさん(@mayu0030)が投稿した写真

店に入ると全員揃っていた。

「10分遅れとか、お前にしては優秀じゃん」。
「ちょっとー、ケンタ、いきなりそういうマイナスブランディングやめてもらえるー?」
「ま、座れよ、とりあえず泡で乾杯な」

で、会はスタート。

「初めまして、恵理子ちゃんだよね? 私、由梨。ケンタくんからお話聞いて、お会いできるの楽しみにしていたの。よろしくね」と、本日の”教材女子”に話しかけられた。

高く評価したところで、顔は中の下。最近ブレイクしてるバブル芸人をちょいと可愛くしたレベルだ。なのに、ゆるく巻いた髪に、バッチリのエクステ、ちゅるちゅるリップ、体のラインがわかる白のニットワンピにネイルはピンクのフレンチという「ザ・男ウケファッション」で全身を固めてる。

会社社長ってよりは、20代商社OLって雰囲気。友達にはいないタイプだ。

「私がこのくらいの顔面偏差値だったら、恥ずかしくて、こんな、いかにも、な格好できないよなあ。しかも32でしょ? 痛すぎるっしょ」と心の中で毒づいてると、ケンタがメンズを紹介してくれた。

「俺の同期で、コピーライターやってる松田龍太。イケメンな上に賞とかとっちゃって、超有料物件」
「俺の遊びの師匠で化粧品会社やってる新井浩さん。あのボタニーシャンプーとか新井さんの会社のもんです」
最近大ヒットしてるオーガニックシャンプーの名前を口にした。

「バツイチ、42です。おっさんでごめんねー」

仕立てのいい高そうなジャケットにデニム、足元はGUCCI。手元はパテックフィリップ。お金を持ってることだけは間違いない。自分のことおっさんだなんて絶対思ってないくせにこのトークとかまじうざい。

そして、龍太くんはまじイケメン。ていうか、超好み。「俺、龍平、翔太、松田3兄弟の兄なんですよ」って言われても信じちゃうほど、今どきの塩顔だ。

しかし、由梨ちゃんは、さっそく新井さんに食いついている。

甘え上手の由梨に戦意喪失の恵理子がとった態度は?

「新井さん、会社経営されてるんですかあ? 私もちっちゃい会社やってるんですけど、もう大変でー。色々教えてくださーい」

てめーはキャバ嬢かよ、とさらに心の中で毒づくが、新井の方は「あ、君も会社やってんの? すごいじゃん」と目尻を下げて、いきなり嬉しそう。アホか! これだから男ってやつはっ。

「いえいえ、もう全然。細腕繁盛記、ですよー。あ、そんなに細腕でもないですねっ」と自分の二の腕をプニプニしてる。

うっえー、可愛くもないのに、よくそんな、20代のかわいこちゃんがやるようなことやれんなあ、自分のこと、石原さとみくらいに思っちゃってんじゃねえの? と嫌悪感でいっぱいになってると

「ケンタくん、シャンパンなくなっちゃったあ。もう一本入れてもいい?」

とケンタの腕をつかみ、おねだりしてる。

「あ、今日は新井さんプレゼンツなんで、新井さんの許可もらってくださーい」

とニヤニヤしながらケンタが言った。なに、そのニヤつき? 私と飲んでる時とかそんな顔したことないんすけどー。

「そうなんですねー。新井さん、もう一本いいですか? 由梨、シャンパンが一番好きなお酒でえ」と由梨はおねだりポーズをして、目をうるうるさせてる。

ゲーーーーーー、お前は田中みな実か? いや、みな実は可愛いから、百歩譲って許すけど、ノラ似で、それは犯罪だろ、いや、そもそも、いい歳こいて自分のことを名前で呼んでんじゃねえよ、とイライラ度はマックスに。

「由梨さん、まじすごいっすね。夜の仕事でもしてたことあるんすか?」と心の声が漏れてしまった。

「もう、やだ〜恵理子ちゃんたらー。ないですよお。でも、楽しそうですよね、夜のお仕事も、ふふ」

なんちゅー返しだ。

「いやあ、由梨ちゃんなら銀座でも即ナンバー1になれるよー。英理子ちゃんもそういうところで、少しは女子力鍛えたほうがいいんじゃない?」と新井に言われた。

vol1 男とは「甘え上手な女にとにかく弱い」生き物である<前編>

「はあ〜〜〜〜〜〜? ないっす。そもそも女を売りにするのとか、マジかっこ悪いっす。

女を売りにする女も女だけど、それに鼻の下伸ばしてる男も男っすよね。まじうざい」

新井の言葉にまじムカついて反撃してやった。

「おいおい、英理子、なに怒ってんだよ。楽しく飲もうぜ」

ケンタに言われ、ハッとなった。

やってもうた。女を見くびる男を見ると、つい戦闘モードになってしまう悪い癖がでてしまった。

 

”かわいげのない女子モード”が加速する・・・

もう、そこからは、すっかりやけくそになり、

龍太くんに

「イケメンで、コピーライターで賞とってるとか、すげえ女にモテるっしょ? セフレとかやっぱたくさんいるんすか?」とか聞いて

「なんか、恵理子ちゃんすごいねー」と龍太にまでひかれてしまった。

一方、由梨をみると、きゃっきゃと新井さんのみならず、ケンタをも巻き込み「すごーい」「え、由梨にもそれ、おしえてくださーい」「是非、紹介してもらいたいなあ」とか、時に新井さんの腕に絡みつき、時にケンタの膝の上に手を置き、キャバ嬢プレイを続けていた。

 

後編へ続く

 

Written by Yoshie Watanabe

 

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