「今の彼じゃないのかなあ」本音で語る恋愛マガジン

【小説】Vol1 男とは「甘え上手な女にとにかく弱い生き物」である<後編>

男心を知らずして、男とうまくいこうだなんてちゃんちゃらおかしい。
ここでは、男心を知らないばっかりに失敗した女子達が、男心を学んでいく姿を学んでいきます。失敗は成功の元。さあ、いっしょに男ってヤツを学び、恋愛偏差値をあげていきましょう。

 

  • 前回のあらすじ
  • ファッションライター恵理子・32歳。仕事は大好きだが、不安定な立場ゆえいつも不安と背中合わせ。さらに、自分より上手に稼いでいたり成功している仲間を見ると、猛烈に焦りを感じる今日この頃。仕事にどっぷりだったせいもあって(言い訳だけど)もう4年も彼がいない。「このままじゃまずい」と痛感した32の誕生日「仕事もっと頑張る! でもって35までに結婚する! から、大至急彼氏を作る!」と決意。そんなリカコに「参考にすべき女に会わせてやるよ」と親友のケンタに言われ、久々の合コンに参戦。そこで、参考にすべき女子・同い年でPR会社経営・由梨に出会うが、彼女の男に媚び媚びモードに鼻の下を伸ばす男たち、さらには、それをしない自分をディスる男にキレ、戦闘モードにスイッチを入れてしまった恵理子であった。

男たちの気持ちをかっさらう由梨にシラけた恵理子はついに・・・

 

「新井さんもゴルフお好きなんですか? 私も最近ようやくコースに出れるレベルで、ぜひ今度ご一緒させてくださーい。あ、でも、私140とかたたいちゃうから、足手まといですよねえ。でも、ゴルフの後のシャンパンって最高じゃないですかあ。今度は新井さんとゴルフクラブでシャンパン飲みたいなあ」

由梨のキャピキャピ攻撃は さらにヒートアップしている。ケンタもそこに混じっている。

Vol1 男とは「甘え上手な女にとにかく弱い生き物」である<後編>

自分の横に座ってる龍太はひたすらワインを飲んでいる。

退屈そうな彼を見て、いたたまれない気持ちになって

「すいませんねー。横に座ってんのがあの子じゃなくてー。やっぱ、男は、ああいう女子が好きっすよねー。申し訳ないっす」

ついつい定番の自虐トークをしてしまった。

ストライクど真ん中の龍太に、恵理子がとった態度は・・・

「好きか嫌いかは置いといて、ああされて嫌な男はいないだろうね」

「そりゃあ、石原さとみにあれやられたら、男はみんなイチコロだろうけど、正直、由梨ちゃんてかわいくないじゃないっすかあ。ブスにそうされてもなあ、って感じじゃないんすか?」

自分で言わせた言葉とはいえ、龍太のコメントにイラッとしてしまい、つい由梨をディスってしまった。

あーあ、もうこれで完全終わり。

クリエイティブ系の仕事やってるし、顔も超好み。シンプルな黒のACNEのニットにワンウオッシュデニムというセンスも大好き。龍太くんは、いけるものならいきたい男ではあったけど、こんな、誰かをディスる女なんて、さすがにナシなことくらい恵理子だって知っている。もう私ってほんとダメな女。でも、もうしょうがない、今日は男はあきらめて、せめて聞きたいことだけでも聞いて帰ろう。

 

みんなして甘え上手な女がいいなんて、男ってほんとバカ!

 

「龍太くんも、あの子に甘えられたら嬉しいんすか? 美人じゃなくても」

「美人、美人じゃない関係なく、甘えられたり、頼られたりして嬉しくない男はいないと思うよ。しかも、あの子、単なる依存心の塊系わがまま甘え女じゃなく、見てると、男立てつつの甘え上手でしょ。ありゃ、男は撃沈だろうね」

「新井のおっさんや、ガツガツ営業系ケンタがああいう女を好むのはわかるけど、龍太くんみたいなクリエイティブオシャレ系男子もああいうのが好きだなんて、まじショック。男ってバカなんだねえ。あんな見え見えの攻撃でも嬉しいだなんて。私は無理だなあ、ああいうの。好きな男に甘えるのならまだしも、いきなり初対面の男に甘えるとか、絶対ないっす」

「まあ、恵理子ちゃんは、そういうタイプだよね。でも、たぶん、それで今まですげえ損してると思うよ。恵理子ちゃんもカナちゃんもかわいいし、おしゃれだし、スタイルもいいけど、男は、ルックスのいいかわいげのない女より、ルックスいまいちの甘え上手な女に弱いもんだからさ」

やっべー、むかつく、を通り越して、泣きそう。。。いや、ここで泣いたらまじかっこ悪い。

「やっぱ、私かわいげないっすよねー」と笑い飛ばしてみた。

「あ、今のいいね。そこで、なんなの? ってキレたら救いようないって思ったけど、ちゃんと人の意見を聞く素直さはまだ残ってんだ」

「ちょっ! 人のこと、終わった女みたいにいわないでよー」

「本音で話せるし、明るいし、恵理子ちゃんは女友達としては人気だろうね。ケンタが自慢の面白い女友達、って言ってたの、わかるわあ」

「来た、来た、定番の話せる女友達枠。つか、その枠、まじ嬉しくない」

 せっかくの男友達のパスも生かせない自分に恵理子は・・・

「恵理子、龍太となんか盛り上がってんじゃん。よかったなあ、お前。龍太、こいつこんなだけど、いいやつなんで、かわいがってやってよ、わかりにくいけどな、お前のかわいさ」といきなりケンタにつっこまれ、まさに顔から火が出る勢いだった。

「なに言ってんの? バカじゃね。そういうんじゃないし」

せっかくケンタがいいパス出してくれたのに、恥ずかしすぎて、意図しない方向に舵を切ってしまった。あーあ、もう私ってほんとだめ。

 

男に噛みついて、自虐ネタぶちかまして、久々の合コンはどっぷり自己嫌悪に陥って幕を閉じた。

私とカナオは明日撮影で6時集合なこともあり(とはいえ盛り上がったら、そのまま寝ないで撮影にいく覚悟もできてたけど)、CICADAで退散、「じゃ、俺も帰るわ」と龍太くんも帰り、ケンタと新井、由梨は二軒目にいくことになった。

 

反省会で語られた甘え上手女の本当の姿とは

 

後日、「反省会しようぜ」とケンタからのLINEで土曜日の午後、

「IVYPLACE」でブランチをすることに。

「お前、龍太とLINE交換したの?」

「してないよ」

「相変わらずダメなやつだな。けっこうトーク盛り上がってたし、
お前が帰るっていったら、じゃあ、俺も帰るわって流れだったじゃん? わりといけたんじゃん?」

「なわけないじゃん。あの白ワンピをあんたと新井のおっさんが独占してたから、私と話してただけだって。全然いい感じの話ししてたわけじゃないし」

由梨のことを名前で呼ぶのも不愉快だったので、白ワンピ呼ばわりしてやった。

「ふーん、そうなんだ。つまんねえの。俺たちあの後、3人でバーに行ったんだけどさ、由梨ちゃん、さっそく新井さんの会社のコスメのPRやるとか、やらないとかいう話になって、二人で飯食う約束してたよ」

「まじ? すごくない? あの二人初対面でしょ? で、そこまでつめれてんの?

新井のおっさん、やるための餌じゃね?」

超甘え上手女はコンプレックスをバネに、の努力の人だった

「そうかもしれないけど、由梨ちゃんは絶対やらないね。そこが彼女のすごいとこ。由梨ちゃんはあれで、クライアント決めて会社どんどん大きくしてるからな。うちの会社いた時もクライアントのおっさんから超人気でさ、すげえよ、まじで」

「やらせそうでやらせなくって引っ張るなんて、そんなんまさにキャバじゃん。マジかっこ悪い!」

「そう? 俺はかっこいいと思うぜ。あの覚悟。仕事の成功のためなら、やれることはなんでもやるって姿勢がかっこいいよ。でも、枕はしないってとこも含めてさ。でもさ、由利ちゃんって最初からああじゃなかったんだよね。入社した当時はさ、今より10キロくらい太ってて、まじひどかったんだよ。半年くらいしたら、どんどん痩せてさ。その上オーラまでかわってきちゃってさ。二人で飲みに行った時、なんかあったの? って聞いたの。そしたら、

“私、デブで可愛くない上に、たいした大学も出てなくて、ハンデだらけでしょ? うちの会社みんな高学歴でそのうえ華やかな子多いし、最初はイジイジしてたんだけど、いじけてる場合じゃないって思って。少しでも自分に自信持ちたいって思って、できることを頑張ろうって思ったんだ。
痩せてメイクとか上手になってちょっとでもきれいになったら、自分に自信が持てるかな、って。最近はケンタくんみたいに、変わったなあって言ってくれる人増えたから、自分はブスじゃないんだ、かわいいんだ、って言い聞かせるようにしてるの。そうするとね、自然と堂々とできるようになるんだ”っていっててさ、そっから、クライアントにもガツガツいくようになってさ。
一緒に接待行ったときも、ずっとあの日みたいな感じだったから、疲れない? って聞いたらさ、“疲れないですよー。私、かわいくないから、あれくらいしないと存在意義ないでしょ? それに美人があれやると男の人警戒しちゃうかもしれないけど、私がやると、男は油断するから。ちょいブスって便利ですよね”って笑っててさ。1年目が終わる頃にはNO1営業女子になってたんだよね。可愛いことにあぐらかいてる女なんかより、由梨ちゃんはかっこいいよ」

衝撃だ。あの白ワンピにそんな過去があったなんて。途端に自分が恥ずかしくなった。

「もお〜〜、まじ落ちるんだけど。そういう裏あるなら最初から教えてよ。なんか、私まじかっこ悪くて、やなやつじゃん」

「そう落ちるなって。ま、恵理子はそういう素直さが残ってるだけ救いがあるって。その点、お前が連れてきたカナちゃんだっけ? あの子はまずいね。すげえ美人でスタイルいいけど、モテねえだろ? 俺が同じ話しても、キレるだろうなあ。もう、そうなったら、おしまいだよね」

ディスられたのはカナオなのに、ちょっと胸が苦しくなった。

「カナちゃんは、美人でスタイルよくておしゃれで、雑誌に特集されるほど活躍してたりして、お前が自慢する通り、女から見たら”超いい女”かもしんねえけど、男にしたら値打ちこいてるめんどくさい女、って感じだもん」。

あれだけのハイスペックにもかかわらずカナオに彼氏が5年もいない理由はそこだったわけか。

「もう、私とかもう全然だめじゃん。カナほどハイスペ美人でもなく、由梨ちゃんのように腹くくれて甘え上手やりきれてるわけでもないなんて、終わってんじゃーん」

自分を上から見てた恵理子に由梨がとった行動とは?

「しつこいなあ。だから、いじけたってしょうがねえだろ。仕事広げたいんだろ? 男も欲しいんだろ? だったら、由梨ちゃん見習って、男に上手に甘えられるようになれよ。由梨ちゃん、お前とまた会いたいっていってたから、仲良くなって教えてもらえ」

飲み会の日、明らかに軽蔑した態度をとり、暴言まで吐いた私にそんなこというなんて、もう1ミリも頭が上がらない。まじリスペクトだ。

私のためにわざわざセッティングしてくれたケンタにも申し訳ないし、くだらないプライド捨てて、欲しいもののためにがむしゃらに頑張る由梨ちゃんを見習おう。

甘え下手な美人より、甘え上手なちょいブスのほうが男にはニーズがある。

それくらい

”甘え上手”ってスキルは強力らしい。

「ケンタがそこまで言うなら、頑張るわ。つっても、今男いないから、ケンタで練習しようっと。

ね、ケンタくん、お願いね」

声色をちょっと変えて、おねだりポーズをしてみた。

「な、急になんだよ、びびるじゃん」

言葉とは裏腹に嬉しそうなケンタに「甘え上手一歩前進!笑」と心の中で小さくガッツポーズをする恵理子だった。

 

Written by Yoshie Watanabe

 

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